富山県のSDGs連携推進事業の一環として、富山県立大学の1年生を対象に全2回の特別授業が行われました。第1回はSDGsの基本的な考え方について学ぶ講義が実施され、第2回は「富山県SDGs宣言」を行っている企業から、3社が先進的な取り組みを紹介しました。次代を担う学生が各企業の具体的な活動内容を知り、SDGsを身近なものとして理解するきっかけづくりになったとともに、企業側も学生の率直な意見を直接聞く貴重な機会となりました。各社の発表の後は、3グループに分かれた座談会も行われ、学生は各企業の担当者と活発に意見交換しました。

学生さんの受講風景

第1回 SDGsについて理解を深める

西野氏講演写真
SDGsについての基礎知識ならびにビジネスにおけるSDGs推進の価値や意義について 講師を招きセミナーを開催しました。
講師
etincelle(エタンセル)代表 西野 美冬 氏
(一般社団法人 Beyond SDGs japan認定 SDGsビジネスマスター)
演題
SDGsとこれからの「働く」を考える〜富山からはじまる私たちの未来〜
講演内容
  • SDGsとは
    17のゴールとSDGsが目指す世界像について
  • 身近にあるSDGs
    大学生の日常や就職活動の中にあるSDGsの存在に気付く
  • 企業がSDGsに取り組む理由
    単なる社会貢献ではなく「変化に強く、選ばれる企業」となるための活動
  • SDGsに取り組む企業で働くということ
    「どのように働きたいか?」という問いから企業におけるSDGsの取組を考える

第2回 富山県SDGs宣言企業との座談会

アイザック様事例紹介写真
株式会社アイザック
エンジニアリング部 エンジニアリング課
課長
高田 大亮 様
人事総務企画部 採用教育・広報課
主任
田中 祐輝 様
品質管理部 生産管理課
主任
山田 将之 様
廃棄物の収集運搬から中間処理、リサイクル、最終処分までをグループ内で一貫して行える点が、当社の大きな強みです。環境事業を中核に、段ボール製造、バイオガス発電、RDF燃料製造、さらにはホテルやゴルフ場経営など、多角的に事業を展開しています。循環型社会への貢献、CO₂排出抑制、適正処理の徹底を重点項目として掲げ、GX(グリーントランスフォーメーション)を通じた脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進しています。また、経済産業省主導の「サーキュラーパートナーズ」への参画をはじめ、産学官連携を通じた新たな価値創出にも積極的に取り組んでいます。
アルコット様事例紹介写真
アルコット株式会社
代表取締役社長
矢澤 剛志 様
ブランディング推進室
船屋 羽捺 様
当社は、ビルメンテナンス業という社会インフラを支える事業を展開しています。すべての利用者が安心かつ快適に建物を利用できるよう、主に「人」によるサービスを提供しています。
社員は10代から80代までの約2,000名が活躍しており、その約30%が70歳以上のアクティブシニア層です。少子高齢化や人口減少といった日本の構造的課題に対し、当社では「生涯現役」を掲げ、最長90歳まで働くことができる段階的定年制を導入しました。本制度では、定期健康診断に加え、AI体力測定アプリを活用することで体力面や安全面を可視化し、5年ごとの定年時面談において健康面・安全面の観点から就労継続の可否を確認しています。
こうした取り組みにより、社員が生涯現役で活躍できる環境を整えるとともに、社会保障費の抑制や地域経済の活性化など、日本の構造的課題の解決にも寄与すると考えています。
当社はこれからも、持続可能な社会基盤を支える企業として取り組みを進めてまいります。
ミヤモリ様事例紹介写真
株式会社ミヤモリ
代表取締役社長
宮森 穂 様
生産事業部
中川 郁哉 様
衣類製造と販売、修理を行いながら、100年企業を目指して地域・社会課題の解決に取り組んでいます。特にアパレル産業が環境負荷の大きい産業であることに着目し、製造過程で廃棄される衣類を活用したアップサイクル商品を開発しています。代表的な取り組みは、工場の廃棄生地を利用した「服の鉛筆」や、富山県産ハトムギの糠を活用した衣料品・化粧品の開発です。また衣類を捨てずに修理・再生するリペア文化を発信し、教育活動やイベントを通じて循環型社会の実現と環境意識の向上を目指しています。

【座談会】株式会社アイザック

アイザック様グループ 座談会写真
QSDGsの推進は、売り上げに直結していますか?
A 企業活動においてSDGsを意識した取り組みは、今や特別なものではなく、社会から求められる前提条件になりつつあります。短期的に売上へ直接結びつく効果を測ることは難しいものの、SDGsを推進することで、企業としての信頼性や社会的評価の向上につながっていると感じています。現在は、SDGsを起点とした新たな事業や価値創出に取り組んでおり、これらが今後のグループの成長につながる重要なテーマとなっています。
QSDGsの推進によって生まれた変化や影響はどのような点にありますか?
A 地域とのつながりがより一層強まった点が、大きな変化の一つです。幼稚園や小学校との交流、高校・大学からの見学受け入れ、職業体験の実施など、地域に開かれた企業活動が広がっています。また、従業員が安心・安全に働き続けられる職場づくりも進みました。経営トップ自らが職場環境の整備に関与し、現場から寄せられる効率化や改善に向けた声が、実際の取り組みとして形になっています。こうした積み重ねにより、会社全体の意識や行動にも前向きな変化が生まれています。
アイザック様グループ 座談会写真
Q新エネルギーの創出ですが、水素以外に何があるのでしょう?
A 新エネルギーの創出において、水素の活用は今後も重要なテーマの一つだと考えています。一方で、当社が現在取り組んでいるエネルギー創出の一つが廃棄物発電です。廃棄物を焼却する際に発生するエネルギーを電力として有効活用し、廃棄物由来のCO₂フリー電気を自社グループの各施設・工場へ供給しています。発電の取り組みは約15年前から行っており、エネルギーの有効活用と環境負荷低減の両立を図ってきました。今後も時代を先読みし、遅れを取らないための革新的な取り組みを意識していきます。

【座談会】アルコット株式会社

アルコット様グループ 座談会写真
Q高齢者雇用について、どのような考えをお持ちですか?
A 当社は、年齢にかかわらず誰もが役割を持ち、いきいきと働き続けられる「生きがいをプロデュースできる会社」を目指しています。
これは、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」および目標3「すべての人に健康と福祉」にも通じる取り組みです。
シニアの皆さんが活躍し続けることは、ご本人の生きがいにつながるだけでなく、企業や地域社会にとっても大きな価値を生み出すものと考えています。
Q生きがいとは、何ですか?
A 生きがいとは、「好きなこと」「得意なこと」「社会に必要とされること」「収入につながること」の4つが重なり合う部分にあるとされています。
そしてその形は一人ひとり異なります。
学生の皆さんにも生きがいを持ち続けるためにできることを考えていただき、
趣味や好きなことを見つけること、新しいことに挑戦すること、健康を保つこと、生きがいを一つに絞らず複数持つことなど前向きな意見が多く挙がりました。
働くことで、健康増進と働きがいにつながり、それが生きがいになる。
私たちは、社員一人ひとりが生きがいを持ち、長くいきいきと働き続けられる会社を目指して取り組んでいます。
アルコット様グループ 座談会写真
Q 生きがいを持つことを自分ごととして捉え、日常の行動につなげていくためには、どのようなことが大切でしょうか。
A 大切なのは、「自分にできる小さな一歩」を見つけることだと考えます。
まずは、自分自身が生きがいを持ち続けるために行動してみること。その積み重ねの中で、自分が本当に大切にしているものに気づくはずです。そして、家族や友人、職場の仲間など、身近な大切な人の生きがいのために、自分にできることを考えてみること。一人で考えるだけでなく、周囲の人と語り合うことで、新たな気づきも生まれます。
こうした姿勢は、SDGsの取り組みにも通じるものです。
まずは自分から前向きに取り組み、その想いや行動の輪を広げていくこと。
私たち一人ひとりの行動が、富山県をIKIGAIあふれる、そしてSDGsを推進する地域へと育てていくと信じています。

【座談会】株式会社ミヤモリ

ミヤモリ様グループ 座談会写真
Q資源循環やリペア事業に取り組む背景を教えてください。
Aアパレル業界が大量生産・大量廃棄という課題を抱える中で、当社は「作ること」以上に「直して長く使うこと」がこれからの時代に必要だと考えています。そのため、リペアやアップサイクルを軸にした循環型のものづくりに取り組んでいます。リペアの本質は単なる修理ではなく、持ち主の思い出や大切な時間を未来につなぐことです。物に込められた物語に寄り添える点に、やりがいを感じています。社会課題の解決と自分たちのやりたいことを結びつけることで、地球環境だけでなく、暮らしや文化もより良い方向へ進むと考えています。
Q「服の鉛筆」は、どのくらい売れているのでしょうか?
A生まれ変わらせるためにはコストがかかり、実は新しいものを作るほうが安く済みます。廃棄生地を活用した「服の鉛筆」は、利益を目的とした商品ではなく、物を大切にするという価値観を伝えるための存在です。製作に費用がかかるため、販売価格は一本250円と、一般的な鉛筆より高価で、販売数は多くありません。一方で、企業のノベルティとして使われたり、外国人旅行者に向けた新たな魅力発信のツールとして活用されたりしています。
ミヤモリ様グループ 座談会写真
Q環境にやさしいものを作る発想の原点はどこですか?
A当社では年間約20トンの繊維屑が発生しており、これを何とかできないかと考え続けてきました。そうした中で「炭にしてはどうか」という提案があり、専門家に相談して繊維屑を炭にしたところ、鉛筆の芯として使えることが分かりました。脱臭剤などほかの製品についても、スタッフを中心に意見を出し合いながら開発しています。チャレンジ精神のある社風と、柔軟な発想を持つ人材が多いことから、次々と新しいアイデアが生まれています。

学生のみなさんからの感想

自分でも継続的にSDGsに貢献できる取り組みを今回見つける事ができた。もっとSDGsやそれらに取り組む企業の活動に、これから目を向けて行きたいと思った。

今後生きていく上では新しい資源を使うだけではなく、再利用も考えていかなければならないことだと感じた。自分の夢に加えて社会問題のことも考えながら過ごしていきたいと思った。

強い想いや行っていることへの熱を感じることができ、話を聞くことができてよかった。自分の目標と社会課題について並行して考えていくことが大切であると知れたため、今後に活かしたい。